飛行機とは、胴体に固定された翼で揚力を得る航空機である固定翼機のうち、動力により推力を発生させるものである。
なお、現在の日本語の表記である「飛行機」という言葉は森鴎外が「小倉日記」の1901(明治34)年3月1日付に「飛行機の沿革を説く」とあるのが初出だとされる。
一般に飛行する機械、つまり航空機全般を指してこう呼ぶ場合もあるが、本項では上記の定義に従う。
胴体には、パイロットを含む乗員・乗客・荷物・前脚を搭載する。さらに燃料タンク・主脚を搭載するものもある。操縦席部分は「コックピット」、客室部分は「キャビン」、床下貨物室部分は「ベリー」と呼ぶ。単発機や3発機では胴体の最前部または最後部に1発のエンジンを搭載する。最初の飛行機には胴体と呼べるものは無く、操縦席は木製骨組みの上に簡素なイスを載せたものであった。その後木製の骨組を丈夫な帆布で覆った構造になり、現在は縦横に組み合わせた骨組の表面にアルミ合金や繊維強化プラスチック製の薄い板を張ったセミモノコック構造が主流。なお空気の薄い高空を飛ぶ飛行機は、胴体内部の気圧を地上に近い状態に保っている。
セミモノコック構造の胴体は、主に以下の部材からなる:
ストリンガ: 胴体の長手方向の曲げ荷重を主に受け持つ部材。小型機でも数本、大型機では円周上に何十本も配置される。特に強度の大きなものはロンジロンと呼ばれる。
フレーム: ストリンガと直交する部材で、胴体形状を保つ。円形のものはリングフレームとも。
スキン: フレームの外側に張られる薄い板。引っ張り・圧縮荷重の一部を受け持つ。
主翼はその周りに循環を発生させて飛行方向に垂直な力を発生する部位である。一般に、低亜音速機に用いられる翼断面形は上側が膨れた凸状であるが、飛行速度や用途によってさまざまな翼型がある。翼型と翼平面形は飛行特性に大きな影響を与える。効率的に揚力を発生させるには細長い平面形状が適する。主翼の縦と横の比率をアスペクト比と呼んで平面形状の目安としている。高く遠くへ飛ぶ飛行機は主翼のアスペクト比を大きく設定した細長い翼が有利だが、あまりアスペクト比を大きくすると強度の問題等が出てくる。高速で飛ぶ飛行機の主翼には、高速での空気抵抗が少ない後退翼が採用される。戦闘機などの超音速機では、スルメのような三角翼が使われる。
主翼も現在ではセミモノコック構造が主流であり、主に以下の部材からなる:
スパー: 翼の長手方向の曲げ荷重を主に受け持つ部材。小型機では片翼につき1本が多い。大型機では2〜3本のものや、もっと多くのものもある。補助的なものはストリンガと呼ばれる。
リブ: 桁と直交する薄い板で、翼型をしている。翼幅方向に多数が配置される。
スキン: リブの表面を覆う薄い板。引っ張り・圧縮荷重の一部を受け持つ。
スパー・リブ・スキンによってボックス構造を構成し、曲げやねじりに強くなっている。翼に発生する揚力などの空気力は、スキン → リブ → スパー → 胴体と伝わる。
桁の太さ・スキンの厚さと材質はその部分にかかる応力に応じて設定され、翼の先端近くでは桁は細くスキンは薄く設定される。最近ではこれらの構造を大きな金属槐から直接削り出す工法も採用されている。飛行中は揚力が主翼を上に曲げる方向に働くので、下面外板には引っ張りに強い素材、上面外板には圧縮に強い素材を選定する。戦闘機のような薄翼では、各場所にかかる応力に応じて素材を組み合わせて使う複合材料が多用される。
ジェット戦闘機に代表される速度と運動性を重視する機体では、機体に対して大きなエンジンは、空気抵抗低減と質量集中のため、単発、双発とも、エンジンは胴体内に置かれる。民生用の小型〜中型機では、キャビン容積を重視して、主翼の上か下、もしくは尾部に置かれる。大型機では尾部にまとめるか、主翼下にパイロンで吊り、並列に配置するものが多い。
重量と体積の大きいレシプロエンジンでは、エンジン搭載位置の自由度は低くなり、単発機はもちろん、奇数発機のエンジンのうちのひとつは、機首や機尾、パラソル式の主翼上など、平面視での機体中心線上に置かれる。左右非対称の機体でも、尾翼の付いた胴体側の中心線上にある。双発以上の偶数発機では、多くが主翼前縁に配置される。強度上の理由で、エンジンをまとめて設置するために2基一組にしたものや、速度を追求し、前面投影面積を増やさずに2基エンジンとしたものではタンデム配置のものもある。また、隣合う二つのエンジンをギアで連結し、2基のエンジンでひとつのプロペラを駆動するものも見られたが、これらは全てドイツ生まれである。
レシプロ機はライト兄弟の1号機から使われている方式。現在では趣味で乗る自家用機のほか、飛行訓練・写真撮影・農薬散布・アクロバット飛行・遊覧飛行・水上タクシー等に使用されている。
比較的近距離の路線で頻繁に離着陸する中型〜小型の機体は、ジェット機よりも離着陸性能の良いターボプロップ機の方が適している。そのため、コミューター機と呼ばれる10人〜50人乗りの旅客機や、条件の悪い飛行場での運用を考慮した軍用輸送機はターボプロップ機が多い。自家用機程度の小型機でターボプロップエンジンを積むものもある。
中型から大型の旅客機や、高速を要求される軍用機は全てジェット機である。その中でも純粋にジェットの排気エネルギーで推力をまかなう方式をターボジェットと呼ぶが、騒音が大きく、燃料の消費も非常に多い。経済性や航続距離、環境性能が重視させる旅客機では、現在、燃費も良く、騒音も比較的少ないターボファン方式が主流である。これはエンジン内最前部にファンを設け、タービン軸出力でこのファンを回して得た推力と、ジェット排気の推力の両方を利用する方式。空港でジェット旅客機のエンジンを正面から見ると、多数の羽根を有するファンが回っているのが良く見える。
(ウィキぺディアから参照しています)